achevement

これまでの成果

銅酸化物高温超伝導体

銅酸化物高温超伝導体は,常圧下では最も高い超伝導臨界温度(Tc)を持つ物質のグループである.榊原は銅酸化物同士の相対的なTcの違いに着目し研究を続けている.物質依存性を理解するためには,フェルミ面を構成する3dx2-y2軌道だけでなく,それに混成している3dz2軌道の効果が重要である事が研究により判明した.研究の基本方針として,第一原理バンド計算の結果を再現するような低エネルギー模型を構築し,これを用いた多体効果のシミュレーションを行っている.シミュレーションには揺らぎ交換近似法(FLEX)に基づいた弱相関描像からの摂動計算を主に用いるが,近年は学外共同研究により,変分モンテカルロ法(VMC)を用いた研究も行っている.また銅酸化物の超伝導において重要な,電子間相互作用の値も第一原理的に導いている.

ニッケル酸化物超伝導体

2019年に新たに発見されたニッケル酸化物は,銅酸化物超伝導体とよく似た結晶構造・電子構造を持っているため,科学的興味を集めている.榊原は第一原理計算に基づく最局在ワニエ軌道法(MLWF),及び制限乱雑位相法(cRPA)によってニッケル酸化物と銅酸化物の電子状態の違いを調べ,ニッケル酸化物のTcが銅酸化物に比べ低いという実験結果を説明することに成功した.

【プレスリリース】榊原助教(現准教授)、小谷教授らが層状ニッケル酸化物超伝導体の電子状態を解明